肉割れは、皮膚が急激に引き伸ばされて真皮層のコラーゲンやエラスチンなどが断裂し、真皮にひび割れが生じることで発生する症状のことを言います。
医学的には、皮膚伸展線条(ひふしんてんせんじょう)や線状皮膚萎縮症(せんじょうひふいしゅくしょう)という病名が付けられています。
真皮にひび割れが起こる原因は人によって様々なのですが、今回は肉割れができる原因について考えられるものをいくつかご紹介していきたいと思います。
肉割れができる原因は、その時の年齢や状況によって違いますので、一つ一つ解説しながらご紹介させていただきます。
肉割れができる原因の中で一番多いのが妊娠によるものです。「妊娠線」という言葉を聞いたことがある人も多いと思います。
妊娠するとおなかが短期間で大きくなるので、その時に皮膚が引き伸ばされて真皮にひび割れが生じます。
妊娠していちばん変化が出るのがおなかなので、肉割れができる場所はおなかが多いのですが、体重が増えすぎてしまうと太ももやおしりにもできることがあります。
妊娠線の次に多い原因が、小学生中学生高校生など10代の思春期の成長による肉割れです。この時期に急激に体重が増えるとやはり皮膚が引き伸ばされて肉割れができやすくなります。
また、太っていなくても骨の成長スピードが速いと短期間で皮膚が引き伸ばされるので肉割れが生じやすい状態になります。
10代のときに肉割れができた人に聞いてみると、他の人より身長が伸びるスピードが速かったと答える人が実際に複数いました。
成長期にできる肉割れの発生場所は人によってばらつきがありますが、おしり、ふともも、ふくらはぎ、胸などに多く見られます。
筋トレをすると筋肥大によって皮膚が引っ張られるため肉割れができやすくなります。特に男性は女性に比べて筋肉がつきやすいので、筋トレが原因となるのは男性の方が多い傾向にあります。
時々、「太っていないのに肉割れができた」という声を聞くことがありますが、実際に体重の増加がみられなくても肉割れができることはあります。
上にも書きましたが、例えば成長期の頃は体重だけではなく骨も一緒に成長します。骨が成長すると身長も伸びるので、その時に皮膚が引っ張られ肉割れができやすい状態になります。
また、部活などの運動で筋肉量が増えることでも肉割れができやすくなるので、肉割れの原因は体重の増加だけというわけではありません。
逆に、「痩せたら肉割れができた」という声もありますが、これは痩せたからできたのではなく、もともとできていた肉割れを痩せた後に発見したと考えていただければいいかなと思います。
肉割れのでき始めは赤い色で、時間の経過とともに白くなります。もし肉割れを発見した時に白い状態であれば、できてから時間が経ったものということになります。
できてしまった肉割れが増えたりひどくなったりするのにも原因があります。肉割れができたら悪化しないようにできるだけ早い段階でケアしてあげることをおすすめします。
肉割れに限らず皮膚は乾燥に弱いので、何もせずに放置すると赤みが強くなったり、あとに残ってしまうことがあります。
悪化を止めるためにも、肉割れに気づいたらすぐに保湿クリームなどでケアしてあげてください。
「日焼けすると肉割れが目立たなくなる」という噂もあるようですが、これは真逆で、紫外線を浴びた肉割れはテカリを帯びてより目立つようになります。
もし、陽に当たる場所に肉割れができているのであれば、季節に関係なく対策をとることをおすすめします。日焼け止めを選ぶ際は保湿成分が含まれているものを選ぶと効果的です。
人は年齢を重ねると、体内のコラーゲンが減少します。コラーゲンには、肌の傷を修復する効果や、ハリ・弾力を与える効果などがあるため、これが減少すると、肉割れの回復力も弱くなります。
コラーゲンは35歳を過ぎると少しずつ減少し、50歳以降は急激に減少するといわれているため、30歳以降にできた肉割れは治りにくいといわれています。
対策としては、保湿クリームに加えてコラーゲンを含んだ美容液などと一緒にケアしてあげるとより効果が期待できます。または、初めからコラーゲンが含有されている肉割れクリームなどを選ぶのも進めです。